2021.03.05

高橋亜可里選手 大病から奇跡の復活!シャフトをSからRに変更し、体力面の不安をカバー

高橋亜可里選手


–Professional golfer information

2019年10月、三重県津市のCOCOPA RESORT CLUB 白山ヴィレッジゴルフコース・QUEENコースで開催された第52回日本女子オープンゴルフ選手権に予選を通過し、本選出場権を掴んだ高橋亜可里選手。初日イーブン、2日目4オーバーの86位タイで決勝進出はならなかったが、多くのドラマが生まれてきたメジャー大会の素晴らしさを身をもって体感した高橋亜可里選手にとって、大きな刺激となったのは間違いない。そんな矢先の2020年2月、脳神経麻痺という大病が高橋亜可里選手を襲い、長期入院を余儀なくされる。苦しい闘病生活は、ゴルフができることのありがたさを知り、そして多くの仲間の優しさを受け取った時間でもあった。現在、体調は万全で、2021年秋に行なわれるプロテストでの合格へ向け、練習を積み重ねると同時に、クラブ調整にも余念がない。キャディバッグの中身はTOXIC 9D(ヘッド)+リボルバーRのドライバー、TOXIC FW(3W)+リボルバーFW、アイアンがTX-01(Cavity back)+ I.Elevationと高橋亜可里選手を支えるギアはREVE一色といっても良いほど。体力面を考慮して、よりしなりを効かせるべく、スペックをSからRに変更した。今回は秋のプロテスト合格を目指す高橋亜可里選手に、出場した日本女子オープン、そしてREVEギアについて語ってもらった。

高橋亜可里選手


 
 

「日本女子オープンでの予選通過は叶いませんでしたが、言い過ぎかもわかりませんが、手ごたえはあったというか、頑張ればやれるんじゃないかって」

――2021年秋に実施される2021年プロテスト合格へ向け、入念な準備を行なっている高橋亜可里選手。最近の調子はいかがですか?
 

高橋亜可里選手
第1次からのテストになりますので、テスト本番に向けてしっかり準備をしています。不思議と気負いもなくリラックスした状態で、調子が悪い中でもスコアは出せていたりして、いいゴルフはできています。
 

――特に重点に置いていることはありませんか?
 

高橋亜可里選手
ドライバーの飛距離アップ。それからアプローチの精度を上げること。アプローチに関しては手の感覚が大事なので、なるべく時間を空けないように練習を続けています。
 

――JLPGAティーチングプロフェッショナルA級の取得も目指しているそうですね。
 

高橋亜可里選手
ツアープロと並行してティーチングの資格取得も目指しているんです。すでに実技審査や講習もスタートしていて、ライセンス取得に向け順調です。入会まで、まだまだ講習を受けたり結構時間がかかるのですが、こちらも頑張っていくつもりです。
 

――コロナ禍以前の2019年秋には予選を通過して、第52回日本女子オープンゴルフ選手権にも出場しました。メジャー大会はいかがでしたか?
 

高橋亜可里選手
初めてのレギュラーツアー出場がメジャーの日本女子オープン。でもプレッシャーはそれほど感じることなく、初出場ということで、まず迷惑かけないようにプレーしないとって気持ちでした。練習ラウンドではミスも多かったのですが、試合に入ると落ち着いてプレーできるようにもなり、途中からは楽しめるようにもなっていました。
 

――初日は6時45分のトップスタート。
 

高橋亜可里選手
そうなんです。その時間帯はまだギャラリーの方々も少ないですし、前半はとにかく自分のプレーに集中するだけ。初日後半はギャラリーの方も増えてきたのですが、前半9ホールで気持ち的にも落ち着けていましたので、割と平常心でプレーできていたと思います。
 

――残念ながら予選通過はできませんでしたが、吸収したものや掴んだものもあったのでは?
 

高橋亜可里選手
2日目は4オーバーとしてしまったんですが、初日はイーブンパーでホールアウトすることもできて、言い過ぎかもわかりませんが、手ごたえはあったというか、頑張ればやれるんじゃないかって。2日目の上がり6ホールで1バーディー・4ボギーとしてしまって、一気に順位が下がってしまったんですが、それまでは予選通過も見えていたので、自分のメンタル面や体力面を強化したり、技術的にレベルアップしなければいけない部分がわかったり、すごく収穫のある2日間になりました。
 

高橋亜可里選手

――日本女子オープン出場は2020年に向けて大きな弾みになるはずだったのですが、そんな矢先に体調に異変があり長期入院。
 

高橋亜可里選手
前触れもなく急に鼻や喉が麻痺してしまって。診察の結果、脳神経麻痺という病気でした。
 

――鼻や喉が麻痺してしまうなんて、自分でも驚いたのでは?
 

高橋亜可里選手
ほんとにびっくりしました。入院した当初は担当いただいた先生もなんの病気なのかもわからないとおっしゃっていて「恐らくウイルスが脳に入って麻痺を起こしたんでしょう」くらいの説明しかなく、とにかく不安でしょうがなかったですね。

――入院中はやっぱりゴルフのことは考えられなかった?
 

高橋亜可里選手
そうですね。ゴルフよりもまずこの病気が治るのか。それだけしか考えられなかったですね。それまではプロテスト合格のためにきつい練習もしていましたし、準備もしてきたのですが、入院中に2020年のプロテスト申し込み受け付けも終わってしまって、とにかく治療に専念しようと。
 

――現在の体調はいかがですか?
 

高橋亜可里選手
すっかり元気になりました!先生曰く、3人に1人は自分の治癒力で完治、3人に1人は手術で完治、3人に1人は治らないという病気なんですが、私の場合はお蔭さまで自分の力で治すことができましたので、この幸運を信じて、これからゴルフに取り組んでいきたいと思っています。
 

――ゴルフはいつ頃から再開したんですか?
 

高橋亜可里選手
退院して1ケ月後くらいかな。軽く練習して、ラウンドに行ったんですけど、体力がないのですぐに息切れしてしまって。なるべく歩かないようにカート道方向に打とうとはするんですが、ヘタになってしまって反対方向に打ってしまったり。それでも18ホールは回り切りたかったので、はぁはぁ言いながらもなんとかホールアウトすることができました。階段を上るだけでも足が筋肉痛になったりしていたので、「ここまで筋力って落ちるんだ」って驚きました。
 

――大きな病気を乗り越えて、今年はプロテスト合格ですね。
 

高橋亜可里選手
自分自身、病気を乗り越えたことで気持ちも強くなっているはずですし、どんな困難にも負けない自信もありますので、なんとしても合格を掴み取りたいですね。
 
 
 

「病気をしたこともあり、ウッド、アイアンともスペックをこれまでのSからRに変更。今まで以上にしなり戻りを使うことで、体力の低下をカバーしてくれています。Rにしたことでさらに楽に振り切れるようになりました」

――これから大事な時期に入りますが、クラブの調整も順調ですか?
 

高橋亜可里選手
順調です。病気をしたこともあって、ウッド、アイアンともスペックをこれまでのSからRに変更したんです。体力も低下してしまいましたし、もっとシャフトのしなりを使おうということで。Rにしたことでさらに楽に振り切れるようになりました。
 

――クラブセッティングを見せてもらうと、TOXIC 9D(ヘッド)+リボルバーRのドライバー、TOXIC FW(3W)+リボルバーFW、アイアンがTX-01(Cavity back)+ I.ElevationとREVE一色といっても良いほど。選手の中でもこれほどREVEを使用している選手は珍しい。
 

高橋亜可里選手
REVEさんには素晴らしいサポートをしていただいて、感謝しかありません。
 

――やはり目を引くのがアイアンヘッドの「TX-01」。
 

高橋亜可里選手
スピンも効きますし、フォージドモデルならではの打感の柔らかさが好みなんです。芯を捕らえた時の心地良さはTX-01ならではで、いかにも飛ぶアイアンという印象。距離のばらつきもありませんし、フォージドでありながらも低重心でボールを上げやすいですね。もちろん飛距離も伸びていますし、ボールも止めやすくて、本当に打ちやすいアイアンなんです。フォルムもシンプルで、かっこいいと思います。
 

高橋亜可里選手

 

――もちろんアイアンシャフトは I.Elevation。
 

高橋亜可里選手
I.Elevationの60g台を使っているのですが、切り返しでのシャフトのしなり感が良くて、タイミングを取りやすいですし、振り抜きも良い。Rでも柔らか過ぎず、しっかり打ち込んでいくこともできるので、とりわけスイングを変えないといけないこともありませんでした。感覚としてはスチールに似ているのですが、軽量でしっかりとしなり戻りを感じられるので、楽にスイングできますね。もちろんコントロールもしやすいんです。このシャフトに出会えて本当によかったってつくづく思っちゃいます。
 

――TOXIC 9D+リボルバーRのドライバーはいかがですか?
 

高橋亜可里選手
TOXICは実際に打ってみるとヘッド全体がたわむような感覚。フェースに一旦ボールが吸い付いて、その後にヘッド全体がボールを押し出しているようで、弾道の伸びがすごいんです。もちろん初速も速く、飛距離は相当伸びたと思います。曲がりにくく打ちやすいのもポイントで、私の場合、もともとドローヒッターでタイミングが狂うとチーピンが出たりしていたんですが、TOXICを使い始めてからチーピンが一切出なくなったんです。これもクラブの恩恵だなぁって。
 

――リボルバーとの相性は文句なし?
 

高橋亜可里選手
もちろんです。リボルバーは軽量ですし、柔らかいのですが、しなり戻りのスピードが驚くほど速くて、このタイミングはすごく好み。SからRにスペックを変更しても、しなり戻りの感覚は変わらずで、実はしなりをもっと利用するためにスイングのリズムを速めているんです。バックスイング、ダウンスイングのどちらもしならせて、よりヘッドを走らせるようにしています。ヘッドも遅れることなくしっかりついてきてくれますので、飛距離が伸びるのも当然かなって思いますね。
 

――そんな高橋亜可里選手ですが、2021年の目標を教えてください。
 

高橋亜可里選手
2021年は3月に予定しているミニツアーへの出場が私の初戦になります。ずいぶん試合からも遠ざかっているので、まずは試合勘を取り戻すことが大事かなって思っています。出場できる試合があればなるべく出場して、秋のプロテストに最高の状態を持っていけるように調整していきたいですね。
 

――最後に高橋亜可里選手を応援している方々にメッセージをお願いします。
 

高橋亜可里選手
病気になった時にインスタグラムをご覧頂いた方から毎日励ましのメッセージを頂いたりして、すごく力になりました。今でもどこかに遠征に行くってアップすると「気を付けてね」とかコメントをいただいたり、周囲の皆さんには感謝しかありません。いつも応援していただいている皆様に良い報告ができるように、全力で頑張ります!

Profile


<高橋亜可里(たかはし あかり)プロ>
1997年7月3日、愛媛県生まれ。8歳からゴルフをはじめ、2014年岡山県ジュニアゴルフ選手権優勝。岡山県作陽高等学校在籍時には全国高校選手権団体の部で優勝。その後、プロ転向し2018年には単年登録者としてLPGAステップ・アップ・ツアーに全戦出場。2019年「第52回日本女子オープンゴルフ選手権」は最終予選を勝ち抜き出場。150㎝と小柄ながら、安定感あるプレースタイルでプロテスト合格を目指す。