2016.08.19

プロコーチ石井雄二が語る。ゴルフレーヴリリースのシャフトの魅力

石井雄二プロコーチ

多くのプロゴルファーをコーチングし、またプロキャディーとしても活躍する石井雄二氏。彼のコーチングにより飛躍したゴルファーはプロ・アマ問わず数知れず、屈指の指導力は折り紙付きだ。またクラブをはじめとするギア類にも造詣が深く、数々のクラブのインプレッションも行なってきた石井氏だが、ゴルフレーヴからリリースされてきたシャフトの魅力に惹かれたゴルファーのひとりでもある。石井氏の目から見たゴルフレーヴのシャフトのすごさとは・・・。
石井雄二(いしいゆうじ)
1974年7月25日生まれ。2005年から江連忠に師事。3年間江連と寝食を共にし、その間、江連プロのキャディーも勤めた。穴井詩、桒原えりか、西木裕紀子、加賀其真美らのプロを指導。とりわけ穴井についてはプロテスト合格、ツアー参戦、そして賞金シード権獲得まで成長させた。現在は今年の日本プロにも出場した皆本祐介、秀島寛臣を指導する。女子選手の上達につながったノウハウを一般ゴルファーにも伝達しており、それぞれの方の筋力、柔軟性などをそのまま使ってエネルギーのロスを最小にして飛んで曲がらないスイングを指導。実は一般ゴルファーの指導を通じて追求した無駄のないスイングやコースマネージメントが逆にプロの指導にも役立っている。大学は工学部で、理論面でも納得のゆく親切な指導が定評。TPI公認インストラクター取得

インパクトボロン

初めてインパクトボロンを使い、ショットさせていただいた際に驚かされたのが、代名詞とも呼べる“しなり戻り”の良さ。私は以前から、各メーカーの数多くのシャフトを試打させていただいてきましたが、しなりが大きくてもここまで“戻り”のスピードが速いシャフトを体感したことはありませんでした。本当に衝撃でしたね。カーボンシャフトをボロン繊維で補強した、いわゆるボロンシャフトということで、ある程度の期待を持って打たせてもらいましたが、想像を超える完成度の高さ。粘りがあって、反発力に優れているというカーボンの特性を十二分に引き出したシャフトだといえますね。
 それに軽量というのも大きな魅力です。ターゲットゾーンであるシニア層のゴルファーや、非力なゴルファーは硬くて重いモデルのシャフトはしならせること自体ができず、その特性を活かすことができません。使い切れないわけです。しかし、インパクトボロンの軽さと、強烈なしなり戻りがあれば、その人の持つ筋力以上のパワーをインパクトゾーンでボールに伝えてくれるわけです。当然飛距離は伸びますよね。
ヘッドスピードが速い人が初めて使った場合、スイングのタイミングによって、なかには少しヘッドが遅れてくる感覚を受けるかもしれません。ただ、それは“しなり戻り”のタイミングに戸惑っているだけ。このシャフトの特性をきちっと感じ取っていただければ、すぐにその恩恵にあずかることができるはずです。つまり、シャフトに仕事をさせることで飛距離が伸びるという、ごく当然のことを身をもって体感していただけるシャフトなんです。  
 私のコーチングしている女子選手の中には実際、インパクトボロンを装着している選手もいるんですが、それまで使用していたシャフトに比べて間違いなく飛距離は伸びていますし、データの数値を見てもアップしています。女子選手のヘッドスピードは40~42m/s。インパクトボロンのターゲット層はシニアゴルファー向けと謳ってはいますが、シニアゴルファーはもちろんのこと一般アマチュア男性にも十分使用いただけるはずですし、飛距離アップに貢献してくれるシャフトだといえますね。

ヴィーナス

インパクトボロンの流れを汲んだ、フルボロンシャフトがこのヴィーナス。フレックスはRRとインパクトボロンよりもさらに柔らかく、45gという超軽量です。女性がメインターゲットということで、驚くほどよくしなって、鋭い戻りをしてくれます。ゴルフレーヴさんのシャフト全般にいえることなんですが、大きくしなっても無駄な「戻り過ぎ」もなく、インパクトゾーンにきちっとヘッドが戻ってきてくれる。タイミングさえ合わせておけば、しなった分だけ戻ってくるというところが本当に素晴らしい。つまり正しいスイングの動きをしていれば、素直にシャフトが反応してくれるんです。極端に掴まり過ぎたり、ヘッドが戻らなくてフェースが開いてしまったりということがまずありません。他社の中にはボールのつかまりを重視し過ぎて、過度な戻りのシャフトもあるんですが、これでは正しいスイングをしていたとしても、ボールを捕まり過ぎてしまっていいボールは打てない。せっかく理想的な体の動きをしてスイングしてもこれでは何の意味もないんです。このヴィーナスやインパクトボロンは正しいスイングさえしていれば、理想的な弾道のボールを打つことができる・・・そんなシャフトだということです。
 もちろんヴィーナスは女性ゴルファーをターゲットにしていますので、ゆったりとしたスイングでも大きなしなりと戻りを感じていただけるはずです。このシャフトを使うことによってヘッドが加速して飛距離が伸びるのは当然で、よりゴルフが楽しくなるのは間違いありません。女性だけでなく、インパクトボロンでもしっかり感じるヘッドスピードが35m/sに満たない男性の方でも存分にヴィーナスの魅力は感じていただけると思います。
 実は私もこのヴィーナスを使用することがあるんです。もちろん私のようなヘッドスピードが速いゴルファー向けにリリースされたシャフトではありませんので、ラウンドに使うことはほとんどないのですが、スイングをチェックするために敢えてヴィーナスでボールを打ってみることがあるんです。大きなしなり戻りと、素直な軌道はスイングの確認に最適で、私がコーチングする男子プロもヴィーナスで逐一スイングを確認し、スイング軌道やタイミングを確かめています。それだけ、ヴィーナスの素直なしなり戻りを信頼しているということですね。
 飛距離を追及するドラコンプロにもヴィーナスを使用している方もおられますが、ドラコンプロの方のヘッドスピードは60m/sに近い。そんなヘッドスピードの方が扱えるというのは、まさにヴィーナスのしなりが、ただしなりっぱなしではなく、きちんとインパクトで戻せるという証明だと思います。
 アマチュアの皆様のクラブを拝見しているとどうもオーバースペックのものを使いたがる傾向にありますが、オーバースペックのクラブを使用していると体に負荷がかかり、ケガをしやすい。つまりゴルフ寿命を自ら縮めているようなもの。自分の体力などを考慮して、ヴィーナスやインパクトボロンのような、「クラブに仕事をさせる」シャフトをもっと使用していただきたいですね

レイヴァー・アーマード・レディ

ゴルフレーヴさんのシャフトのラインナップの中で、男子プロやヘッドスペードの早い男性ゴルファーが使用するなら、このレイヴァー・アーマード・レディがなんといってもおすすめ。インパクトボロンのような柔らかさはありませんが、ハードなスペックでもよくしなってくれますので、ハードヒッターでも「仕事をさせられる」シャフトだといえます。そんな中でも強く振りにいった場合でも簡単にブレない強さを兼ね備えていますので、非常に高い次元でトータルバランスに優れたシャフトがこのレイヴァー・アーマード・レディです。
 男子ツアーを見ているとパワーのある飛ばし屋は重くてハードスペックのシャフトを使用している選手も多いですが、そんなパワーのある選手でもこのレイヴァー・アーマード・レディの“しなり戻り”効果は十分感じることはできるはず。むしろシャフト重量の軽さは扱いやすさを生みますし、スイングスピードも上げやすいですから、十分武器になるはずです。しかもしなり戻りを感じながら、当て負けないパワーも十分に感じ取ることができますのでパワーヒッターでも相当頼りになるシャフトだといえます。まさに飛びの概念を根本から覆す存在だといえますね。
また、あまり知られていないのですが、このレイヴァー・アーマード・レディの比重が手元に近いところに掛けられているというのも特長のひとつではないでしょうか。重量配分が手元寄りにありますので、同じ重量のシャフトを使った場合と比べて、クラブを軽く扱えるというメリットがあります。これはすごく大きなメリットで、クラブをより軽く感じることができ、コントロールしやすくなる。コントロールしやすいということは、クラブに振り負けず、正しいスイングをイメージした体の動きがしやすいわけです。より正しいスイングプレーンにクラブが乗りやすくなりますので、純粋にシャフトのしなったエネルギーを効率よくボールに伝えることができる。それによって自分の狙ったターゲットに向けて、理想的な弾道で飛距離を伸ばすことができる。実にシンプルなことなんですが、レイヴァー・アーマード・レディのような軽さはスイングにとってメリットが大きいのです。
 レイヴァー・アーマード・レディはハードスペックで上級者向けのように思われる方がおられるかもしれませんが、Rスペックでしたらアベレージゴルファーの方ならヘッドスピードがそれほど速くなくても十分、しなりを感じていただくこと可能ですので飛距離アップの武器として使用していただくことは可能です。インパクトボロンよりもしっかりしたシャフトが好みのゴルファーにもおすすめということですね。使用しているヘッドとのマッチングやセットしているクラブとのしなりの感覚などを考慮して選んでいただければと思います。

レイヴァー・アーマード・レディFW

レイヴァー・アーマード・レディの流れを汲むフェアウェイウッド専用のシャフトです。
ウッドというのは、ティーアップしていれば、ヘッドのブレもなく正しい動きをしてくれるんですが、ことフェアウェイやラフにボールがある場合、ライの影響を受けてクラブヘッドがブレてしまうこともあるんです。例えば女子の選手の場合、男子選手に比べると入射角度が滑らか。特にウッドになると、レベルに近い入射角でボールにインパクトしてくるわけです。ティーアップした時と同じような感覚で打てる、平らなライなら問題ないんですが、ラフで芝が深かったりすると、レベルに近い入射角ではしっかりボールを芯で捕らえるのは難しいので、ある程度ダウンブロー気味に打たなくてはいけません。そんな際にシャフトの先端が軟らかいとクラブヘッドが芝の抵抗で当たり負けしてしまい、きれいにヒットしない。そんな当たり負けを解消してくれるのが、このレイヴァー・アーマード・レディFWなんです。レイヴァー・アーマード・レディのしなり戻りの良さを備えながら、なおかつ先端がしっかりしていますので、少々のラフなら当たり負けせず、スムーズにヘッドをボールまで運んでくれるんです。特に夏場の深いラフであったり、ヘッドが跳ね返ってしまうような冬場のベアグラウンドでフェアウェイウッドを使用する際は、この先端のしっかり感が威力を発揮してくれます。もちろんしなり戻りを利用した飛距離は圧倒的です。
 あくまで裏技なんですが、全長が45インチありますので、先端がしっかりしたシャフトを好まれる方にはドライバーに挿してもいいかと思います。剛性を高くすることで、叩きに行った場合でもブレなくショットすることができますので、軽めのシャフトが欲しいけど、しっかり感もほしいというゴルファーには意外とマッチすると思いますよ。